ノロウイルスに対する留意事項

Ⅰ.感染症発生の防止
Ⅱ.発生状況の把握
Ⅲ.感染の拡大防止
Ⅳ.医療処置
Ⅴ.行政への報告

【Ⅰ.感染症発生の防止】

ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、人の腸管で増殖し、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子供や高齢者などでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。家庭や学校、集団で生活している施設においてのノロウイルスが発生した場合、感染者の吐ぶつや排泄物からの二次感染や飛まつ感染を予防し、まん延を防ぐことが重要です。

皆様の周りの方々と一緒に、次の予防対策を徹底しましょう。

○ 感染者の排泄物や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるので、

  1. 食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
  2. 下痢や嘔吐などの症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。
  3. 胃腸炎患者に接する方は、患者の排泄物や吐ぶつを適切に処理し感染を広げないようにしましょう。
  4. 介護やおむつ交換の際は、一人ごとに手洗いや消毒をしましょう。

○ 子供やお年寄りなどの抵抗力の弱い方の食事について、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱するようにしましょう。また、調理器具等は使用後に洗浄、殺菌をしましょう。

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【Ⅱ.発生状況の把握】

  1. ) 家庭や会社、集団で利用する施設および職員の健康状態を把握し、受診状況や診断名、検査と治療内容を知っておきましょう。特に多数の発生者がいる場合には、これらを記録しておきましょう。
  2. ) 発生者の健康状態によっては、接触を制限する必要もあります。
  3. ) 特に食品への二次感染を防止するため、家庭での調理および食品をとり扱う方は、日ごろから自分自身の健康状態を把握し、下痢や嘔吐、風邪のような症状がある場合には、早めに受診し、食品の取り扱いをさけるなど、適切な対応をとりましょう。

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【Ⅲ.感染の拡大防止】

(1)消毒薬について

ノロウイルスにはアルコール消毒薬が無効なので、次亜塩素酸ナトリウム又は、煮沸にて消毒しましょう。

手指は石鹸と流水できれいに洗い流しましょう。

次亜塩素酸ナトリウムは塩素のような特異な臭気があり、酸化作用、漂白作用、殺菌作用があります。

家庭用に販売されている液体の塩素系漂白剤、消毒薬(洗濯用、キッチン用、哺乳瓶の殺菌用など)に含まれています。

<消毒薬の作り方>

☆ 漂白剤として市販されている次亜塩素酸ナトリウム液の塩素濃度は約5%です(家庭用塩素系漂白剤)。
消毒薬としては5%や10%などがあります。必ず確認をして下さい。

例)市販の漂白剤(塩素濃度約5%)の場合:漂白剤のキャップ1杯約20ml~25ml

消毒対象濃度希釈倍率希釈方法
○便吐ぶつが付着した床等
○衣類・タオルなどの漬け置き
1000ppm50倍①500mlのペットボトル1本の水に10ml
(ペットボトルのキャップに2杯)
②5Lの水に100ml
(漂白剤のキャップ5杯)
○食器などの漬け置き
○トイレの便座やドアノブ、手すり、床等
200ppm
(0.02%)
250倍①500mlのペットボトル1本の水に2ml
(ペットボトルのキャップ半分)
②5Lの水に20ml
(漂白剤のキャップ1杯)

* 希釈する際は、直接塩素剤が手に付かないように手袋をしましょう。

(2)吐ぶつや排泄物の処理には細心の注意

<準備>

次のようなものを常にセットして用意しておくと慌てず対応できます。

使い捨てビニール袋、マスク、エプロン、ペーパータオルか布、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤など)、バケツ

<手順>

  1. 窓を開けて換気をしましょう。
  2. 手袋、マスク、エプロンを着けてください。
  3. ペーパータオルなどを軽く湿らせ、吐ぶつ等に覆いかぶせ、外から内にむけて静かに拭き取ります。一度使ったペーパーは捨てます。
  4. 拭き取ったペーパーや布はビニール袋に入れて密封してください。
  5. 嘔吐した場所や、汚れた床と周囲は上記の消毒薬を染みこませたペーパータオルや布で覆うか、浸すように拭き、その後、水拭きします。使用した洗面所等もよく洗い、消毒をして下さい。
  6. おむつ等は速やかに閉じて排泄物等を包み込み、ビニール袋に密封し破棄します。
  7. 手袋、マスク等もビニール袋に入れて処分し、入念に手洗いをしましょう。
  8. トイレ使用の場合も喚起を十分にし、便座等環境の消毒も十分に行って下さい。

*下痢等の症状回復後も数日~数週間にわたってウイルスを含む糞便が排出されるため、注意してください。
学校や施設等多人数の食事の調理、配食等をする部署へ感染者の使用した食器類や吐ぶつが付着した食器類を下膳する場合、注意が必要です。

食器類は厨房に戻す前、食後すぐに消毒液に十分浸し、消毒した後に下膳しましょう。

感染者が使用した食器は、食べ残しの処理をした後、バケツ等の容器に消毒液を用意して、漬けて消毒するとよいでしょう。

(3)感染者が使用した食器類にも注意

学校や施設等多人数の食事の調理、配食等をする部署へ感染者の使用した
食器類や吐ぶつが付着した食器類を下膳する場合、注意が必要です。

食器類は厨房に戻す前、食後すぐに消毒液に十分浸し、消毒した後に下膳しま
しょう。

感染者が使用した食器は、食べ残しの処理をした後、バケツ等の容器に消毒液を用意して、漬けて消毒するとよいでしょう。

(4)吐ぶつや排泄物が布団などリネン類に付着した場合の消毒

  1. マスク、ビニール手袋を着けましょう。
  2. 吐ぶつ等はペーパータオルなどを使用して拭き取り、ビニール袋に入れて密封して下さい。
  3. 潜在を入れた水の中で静かに洗います。
  4. その時、しぶきを吸い込まないように注意してください。
  5. 下洗いしたリネン類の消毒は85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。
  6. 熱水洗濯が出来ない場合には、消毒液に浸けて消毒しましょう。
  7. 十分にすすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。
  8. 布団などすぐに洗濯できない場合は、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果があります。

(5)感染者が発生した場合の環境の消毒

ノロウイルスは感染力が強く、直接吐ぶつ等が付着したところだけでなく、環境(ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品など)からもウイルスが検出されます。

感染者が発生した場合、換気を十分しながら、これらの環境についても消毒液を使用して、消毒をしましょう。

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【Ⅳ 医療処置】

嘔吐、下痢など感染症が発生場合、感染拡大の防止を講ずるとともに、感染者の
早期受診を勧めてください。

学校や施設などでは、速やかに校医および配置されている医師や看護職員に連絡
して指示を仰ぐとともに、必要に応じて、地域の医療機関と連携を図り、早期に対応
して下さい。

特に高齢者の場合、脱水症状で体力が低下したり、吐ぶつを誤嚥しやすくなること
もあり、重症化する場合もあるので、疑わしい症状が生じた場合には早めの対応が
必要です。

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【Ⅴ.行政への報告】

集団で利用している施設の長または管理者等は感染者が発生した場合、迅速に
市町村等に報告し、指示を求めるなどの対応をして下さい。

<報告要件>

 同一の感染者若しくは食中毒による又はそれらによると思われる死亡者又は重篤な患者が1週間内に2名以上発生した場合

 同一の有病者等が10名以上または全利用者の半数以上発生した場合

 イおよびロに掲げる場合のほか、通常の発生動向を上回る感染症の発生が疑われ、特に管理者等が必要と認めた場合