広報ちょうし5月号「健康ひとくちメモ」
目と紫外線
大野眼科 院長 大野 慶周
地上に注ぐ光には波長により目に見えるものと見えないものがあります。紫外線は目に見えない光に含まれ、科学的な作用が強い特性があります。近年その害が注目されますが、体には必要なもので、特に骨の形成に欠かせぬビタミンDは皮膚で紫外線の働きにより作られ、不足すると骨折や骨粗鬆症が起こりやすくなります。
しかし、過剰な紫外線による障害も知られ、目に関しては老化を促進させることが問題視されています。体の老化に大きな影響を与えるものに活性酸素という有害物質があり、紫外線は体内でその発生を増加させる作用があります。
老化による目の病気は多種あり白内障が有名ですが、最近は加齢黄斑変性症も話題になっています。白内障は水晶体の中の蛋白質が変性し白く濁ることで起こります。加齢黄斑変性症は網膜中心の毛細血管に異常が生じ、失明に至る病気です。紫外線の多くは表面の角膜で吸収されますが、目の奥まで達するものもあり、活性酸素を発生させ、蛋白質の変性や血管の細胞破壊の進行を早めると考えられます。
紫外線の害から目を守るため陽射しの強い屋外ではサングラスとつばの広い帽子の併用が効果的です。レンズの色の濃淡は関係なく、紫外線対応のものか確認が必要です。
現在市販のコンタクトレンズはほぼ紫外線対応となっています。また、パソコンのモニターからも紫外線は放出されるので、長時間の使用は避け、カットフィルター装着などで対策をしましょう。