銚子市医師会は、常日頃より市民の皆様の健康を守るために、地域医療の充実、発展に努めて参ります。

安全な入浴の仕方

お風呂好きのQさんとかかりつけ医Aさんによる安全な入浴法のお話です

Q:こんにちは!今日は安全なお風呂の入り方について、話を聴きに来ました。
A:こんにちは!
Q:お風呂で温まってゆっくりするのは、疲れも取れるし気持ちいいですよね。
A:そぉですね。入浴にはリラキゼーション効果やリフレッシュ感覚をもたらせてくれる効果があるし、日本人にとっては欠かすことのできない習慣になっていますね。
Q:そうですよね。おふろに入るとホッとしますよ。ところで、お風呂って危険な場合でもありますよね。滑って怪我したり、なかには亡くなられるかたもいるらしいですね?
A:そぉです。確かに危険な場所です。手すりを付けたりマットを置いたりすることも安全な入浴には大切なことです。
いくつかの調査で、入浴中の事故を調べたデータによると、入浴中の事故は年々増えてきていて、今では、入浴中に亡くなられた方は年間一万人以上と言われています。そのうちの80%以上が高齢者です。
実に交通事故で亡くなられる方よりも多い数字です。
諸外国と比較したデータでは、お風呂好きの日本人を反映してか、諸外国の10倍以上の数になっています。
Q:そんなにたくさんのかたがたが亡くなられているんですか!
私たちお風呂好きの国民にとって、安全な入浴法を知ることは大事なことですね。
実際どのようなことが入浴中に起こるのでしょうか?
A:入浴中に亡くなられてしまった方々を調べた報告では、心筋梗塞などの心臓病や脳卒中が多いようですが、溺死といいますか入浴中におぼれて亡くなられてしまうケースも多いんです。
Q:おぼれるって海でおぼれる話は聞きますが、お風呂はふつう狭いしそんなに深くはないですよね?
A:そうなんですけれども、どう調べてもおぼれて亡くなられたという方が多いんですね。
どうしておぼれてしまうかと言いますと、脳貧血で気を失なってしまうらしいのです。
Q:脳貧血ですか?ということは血圧が下がってしまうわけですか?
A:どうもそのようです。お風呂に入ると、最初血圧は上昇します。若い方ですとその後身体が温まるにつれて下がってきます。中高年の方ですと少しずつ上昇してゆくようです。そして、お風呂から出るとき、湯船から出るときですね問題は、ここでガバッと立ち上がると、急激に血圧が下がってしまいます。その時に脳への血流が低下してしまうと、気を失ってしまうことになります。そして湯船のなかへ顔が浸かってしまうと、おぼれたのと同じ状態になってしまうわけです。ですから、いわゆる湯あたりと言いますか、お風呂でのぼせてしまうあの状態は血圧が下がっている症状なんですね。そういう時は慌てずにゆっくり気をつけて湯船から出て、すぐ横になるようにしたほうが安全です。
Q:そうですか。お風呂に入ると血圧は上がったり下がったりするわけですね。
A:そうです。特にご高齢の方では、この血圧のゆらぎといいましょうか、この血圧変動が血管に負担をかけるようです。着物を脱ぐ所が寒いと、血圧はびゅーっと上がります。
Q:そうすると、入浴中の事故について、起こりやすい時期や場所など何か特徴はありますか?
A:そうですね。季節では、冬場にとても多いんです。気温の下がり始める12月から3月の間が一番多いですね。暑い夏場の4~5倍発生しています。
時間帯では夜の8時から11時の間が多いですね。
Q:そぉしますと、冬場に多いというのは寒さと関係があるんですね?
A:そうです。やはり寒いと血圧の変動がより大きくなります。ご高齢になると、皮膚の温度感覚が鈍くなる関係もあり、熱湯(あつゆ)好きの方が多いですね。熱いお風呂はぬるめのお風呂よりも血圧を上げます。ですから、普段から血圧が高めの方や、脳梗塞にかかったことのある方はぬるめのお風呂のほうが無難です。
また、食事直後やお酒を多めに飲んだ時など血圧はより下がりやすくなりますので入浴は避けたほうがよいですね。
Q:そうですか。熱湯(あつゆ)とお酒は危険ということですね。
A:そうです。熱湯好きで長湯の方が一番危険です。
Q:お湯の温度はどのくらいが安全でしょうか?
A:お湯の温度は、39℃から41℃までが安全です。実際には、冬場であれば40℃以下では少し寒いですから41℃でよいと思います。もちろん、お風呂場や脱衣所なども暖かくできればなお安全ですけれども。あと、いきなりドボンと入らずに、湯船に入る前にかけ湯をして入るほうが血圧の変化が少ないことが分かっています。
Q:そうですか。入る前にお湯をかけてから入るほうが安全なんですね。
A:そうです。あとですね、湯船の出入りはゆっくりと行って、特に湯船から出るときは、急に立ち上がらないようにすることが大事になりますね。
Q:脳貧血になりやすいと
A:そうです。
Q:また、入浴法として、半身浴という方法もよく言われますけれど、あれはどうなんでしょうか?
A:そうですね。心臓や肺にご病気を持ってる方や高血圧の方は今おっしゃいました半身浴を心がけていただきたいですが、寒い冬場でお風呂場がまだ冷たいときは普通に入って温まれたほうが良いかもしれませんね。
Q:いままでのお話で、いくつか安全な入浴法を伺いましたが、そのほかに気をつけたほうが良いことはありますか?
A:入浴する前後は、お水やイオン飲料などをじゅうぶんに摂ることも大切なことですね。
あとですね、入浴中に亡くなられた方を調査しますと、日常生活はおおむね自立していて一人で入浴できる方に多いんです。公衆浴場や老人施設などでの事故は少ないんです。つまり、他の人の注意があるところでの入浴は安全なのですね。ひとりでの入浴は、急に具合が悪くなった時、発見が遅れやすく、手遅れになってしまうことにつながるわけです。
ですから、ご老人のいらっしゃるご家庭では、見守り入浴といいますか、時々声を掛け合っての入浴が安全だと思います。
Q:今日の話をまとめますと、急な温度変化を起こさないようにお風呂場を暖めて、41℃くらいのお湯にして、かけ湯をしてからゆっくりと入り、出るときもゆっくり出ましょうということですね。
A:そうですね。血圧をあまり変動させないように入りましょうということです。あと万が一、気を失った時のために、お風呂の蓋を半分だけ残して入浴すれば、まさかの時に顔がお湯に浸るのを防いでくれるかも知れません。
Q:もしもの時の用心ですね。
A:そうです。寒い時は風呂用心!です。
PAGETOP
Copyright © 一般社団法人 銚子市医師会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.